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チリツモ【中世ヨーロッパ情報館】

"chiritsumo” 管理人チリが、中世ヨーロッパにまつわる情報を紹介していきます。

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食と行政

他の諸々の商品と同じく、都市で売られる食料品には厳重な監視の目が光っていました。これは、食料品が日々の生活に欠かせない重要なものであり、かつ大きな税収を都市にもたらすためであり、不衛生になりがちな都市において人々の安全を守るためでもありました。

居酒屋では最高級ワインの値で安いワインが売られ、肉屋は豚のひづめをつけた足を売って目方をごまかそうと企みます。こうした商人に対抗するため、当局は部門ごとの監査官を使って摘発に努めました。また、衛生面での対応として、祝祭日でも魚や野菜、果実など保存の利かない食料を売る許可を与えたり、腐りやすい内臓などを陳列棚に置くことを禁止したりしました。

また、当局は都市の食料供給が滞りなく進んでいるかをチェックする必要がありました。穀物の、パンの供給が少なくなり値段が上がると、買占めを防ぐために当局は個々の貯蓄を監査し、穀物の輸出も禁止しました。さらに状況が悪化すると当局が直接穀物を買い上げました。1411年のフィレンツェは近くの農村から遠方の大都市に至るまで様々なところから穀物を輸入しようとしました。そのような試みが実を結び、中世後期のイタリアの大都市では餓死者はほとんどでなくなったのです。そして、緊急事態に陥る前にも、パンや小麦の値段は公権力によって制限されていたのです。
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