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チリツモ【中世ヨーロッパ情報館】

"chiritsumo” 管理人チリが、中世ヨーロッパにまつわる情報を紹介していきます。

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「傭兵ピエール」佐藤賢一

今週の土日は謎のARDF大会です。忙しい忙しい…ということで商品紹介で間を稼ぎ…。





ジャンヌ・ダルク。西洋史を知らない人でもまずは聞いたことがあるであろう有名な救国の英雄。彼女と共に戦った一人の傭兵隊長ピエールを中心にこの話は展開されます。百年戦争後半戦、政争の末の暗殺とそれに対する報復で内戦状態に突入していたフランスにイングランド軍が侵攻し、ロアール以北はすでにアングロ・ブールギニョン同盟(イングランドと内戦中のブルゴーニュ派の同盟)傘下に入り、王太子シャルルを擁護するアルマニャック派は都パリを追われていた、そんな時代です。

筋はもういたって普通にジャンヌの快進撃から始まり処刑へと流れていきます。ここはあまりにも有名なので省略。で、この本の見所ですが…やはり佐藤さんの描き出す魅力的なキャラクターたちです。頼りになる傭兵隊長ピエール、我侭な隊長代理ジャン、守銭奴の会計人トマ、聖女の輝きと愛らしさを併せ持ったジャンヌ、彼らに導かれてどんどん続きが読みたくなっていきます。

傭兵隊長からの視点なので、なかなか都市や戦場での生活はなかなか臨場感溢れるものです。最後には驚きの展開があったりと、まさに痛快な小説です。ちなみに私はこの本を読んで中世史をちゃんと勉強し始めました。同著者の「双頭の鷲」とあわせて百年戦争の前半と後半とを小説として楽しめるものになっています。
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