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チリツモ【中世ヨーロッパ情報館】

"chiritsumo” 管理人チリが、中世ヨーロッパにまつわる情報を紹介していきます。

ゴシック式大聖堂の基本

Cologne_Cathedral.jpg
▲ケルン大聖堂(Wikipediaより)

今回は、中世盛期以降に広まったゴシック様式の大聖堂の建築の基本について紹介したいと思います。ちなみに、カトリック教会において一般の教会(church)と大聖堂(cathedlar)の何が違うかといいますと、施設のトップが司祭なのか司教なのかということです。大聖堂は、別に司教座聖堂とも呼ばれるように、司祭(いわゆる村に1人、街区に1人いるような聖職者)の上位者である、司教の座がある教会でした。
 
さて、前置きはこれくらいにしまして、ここからは非常に重たい石を積み上げた大聖堂が、なぜ、他のものを圧倒させるような高さで建っていられるのかということについて明らかにしていきます。結論から言うと、ゴシック式大聖堂を支えていたのは、尖頭アーチ、飛び梁、リブ・ヴォールトという三つの要素でした。
 
まず尖頭アーチ。大聖堂の壁面や天井はアーチによって支えられていますが、よくよく見るとアーチはただの半円形ではなく先端が尖っています。これが尖頭アーチです。普通の半円アーチでは、一番上の石の重力が横方向に働きやすく、幅を広げるとアーチが崩れやすくなってしまいますが、尖頭にするとその力が下に向きやすくなるために、下の石で上の石を支えることができるようになります。
 
しかしながら、尖頭アーチを使っても幅広のアーチで重い石を支えるのには十分ではありません。そこで登場するのが、飛び梁です。飛び梁は、どうしても横方向に働きがちな一番上の石の重力を、その外側から抑え込む役割を果たします。アーチの左右両側から、横方向の力に釣り合うように支えるのです。こうして、大聖堂のアーチは大きな幅を持つことができるようになります。このアーチは、壁の石ではなくアーチ自身によって支えられているので、アーチの間部分には大きなステンドガラスをはめ込むことができるようになります。

最後に、リブ・ヴォールトとはなにかといいますと、簡単に言えば直角に交差した尖頭アーチのことです。つまり、4本足の立体アーチです。これによって、天井の石の重力を柱で支えることができるようになったのです。

ゴシック式大聖堂は、それまでのローマやギリシャで使われていた半円アーチの建築術から一歩先に進んだ技術を取り入れたことにより、未曾有の高さを誇る、壮麗な建造物となることができたのです。そして、この大聖堂は、人々の神への畏怖や、宗教心をかき立て、民衆への教化にも大いに役立ったことでしょう。
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