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チリツモ【中世ヨーロッパ情報館】

"chiritsumo” 管理人チリが、中世ヨーロッパにまつわる情報を紹介していきます。

河川、井戸、貯水槽、水道-生活用水の確保

人は水がないと生きていけません。このことは、古代から現代に到るまで世界のどこへいっても変わりません。中世の時代にも、河川などの水源が人々が生活していくために必要不可欠だったことは言うまでもありません。特に人口密度の高かった中世都市では、市民の生活用水の確保は最重要課題のひとつでした。

パリがセーヌ川を抱き、テムズ川沿いにロンドンが位置し、多くの都市が天然の水掘を備えていたことからも窺えるように、大量の水への需要を満たすため、都市は基本的に河川に隣接する形で建設されました。また、周囲を海に囲まれたヴェネツィアでは雨水を効果的に貯める井戸が存在していましたし、城などにも置かれた貯水槽は、この時代における最も単純な作りの水源となりました。

しかし、中世になってから、ローマ人たちが建造した水道の記憶が完全に消えてしまったわけではありませんでした。確かに、ゲルマン民族のもたらした破壊は衝撃的でしたが、ローマ人の建造した水道橋は、帝国の崩壊後も中世を通じて使用され、修繕されていましたし、さらに新たな水道が建設されることさえあったのです。

例として、7世紀南フランスのカオールの町では、司教が地下水道建設のため、職人の派遣をクレルモンの司教に要請しています。また8世紀、最盛期よりはよほど衰退してはいたものの、永遠の都としての地位をキープしようとしていたローマでは、時の教皇の命により4本のローマ水道が修繕されました。このように、ローマ帝国による行政運営を徐々に委任されていった教会勢力の権威者である司教は、それまでのローマの権力者に求められていたように善行(私費による公共施設の建設)を引き受けていく立場になっていったのです。

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