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チリツモ【中世ヨーロッパ情報館】

"chiritsumo” 管理人チリが、中世ヨーロッパにまつわる情報を紹介していきます。

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「ボヘミア物語」三浦伸昭




ルターが始めた宗教改革によって生まれたプロテスタント、彼らとカトリックとの対立をきっかけに起こった30年戦争はヨーロッパ世界に大きな変化をもたらしていきます。この戦争ではプロテスタント諸侯と神聖ローマ帝国皇帝とが争ったわけですが、この100年前、同じように宗教問題を発端に、神聖ローマ帝国に楯突いた人々がいました。彼らは指導者ヤン・フスの名をとってフス派と呼ばれました。彼らの新思想や何年にもわたる戦争を舞台にしたのが「ボヘミア物語」です。

なかなかマイナーな場所が舞台です。以前紹介したワラキアほどではないにせよ、日本人にはあまり馴染みがないのではないでしょうか。高校世界史では「フス=火刑」くらいしか覚えさせられないはずです。

で、中身ですが…。面白いです(爆)なんというか、ぐんぐん読みたくなる感じです。それからフス派のハンドガンと荷車を利用した特殊な戦術は、なかなか興味深いもので、戦闘シーンなどはワクワクします。

…しかし。素人の私が言うのもなんですが、ちょっとばかし時代考証が甘いような気がします。なんかプラハが世界の中心のように描かれていますし、やたらと教皇権の強さが強調されているような気がします。また、社会主義や銃の威力など、ちょっとばかし、いきすぎな表現があるようにも思ってしまいました。こうゆうところがあんまり気にならない人にはおすすめできる本です。
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