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チリツモ【中世ヨーロッパ情報館】

"chiritsumo” 管理人チリが、中世ヨーロッパにまつわる情報を紹介していきます。

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生産の場としての森

中世の人々にとって、森は現代とは比べ物にならないほど畏怖された存在でしたが、同時に生活に密着したものでもありました。中世の文明は森の資源を活用し、また森を切り開いて成長していったのです。森では、主に建築材料として、あるいは燃料として、多くの樹木切り倒されました。ドングリを代表とする木の実は家畜の餌となり、栗などは農民たちの食事にも添えられました。高貴な人々にとっては、森は狩猟の場であり、鹿や猪などの獣は食卓に加えられることもありましたし、またビーバーやリスなどは毛皮をとるために森で捕まえられました。

中世都市の建築というと石造のものを想像しがちですが、実際には多くがが木造でした。そのため、木材供給源としての森はかなりの重要度を持っており、都市の周辺の森はまっさきに伐採されました。また、寒いヨーロッパで暮らすための暖房として、あるいは食事のために煮炊きを行うのにも大量の薪が使われました。

さらに、裕福な商人の石造家屋や鍛冶工房、大聖堂も森無くしては存在し得なかったといってもいいでしょう。どんな石造建築にも、木材の足場は不可欠でしたし、煉瓦職人もガラス職人も鍛冶屋も、そろって燃料の薪を必要としていたからです。また、彼らが使ったもう一つの燃料、木炭を供給するために炭焼き人は森に入って作業所を構えたのでした。

貴族たちにとって、森での狩猟はスポーツとしてのみ意味を持っていたのではありません。野生動物は珍しい食材として喜ばれましたが、これはつまり野生動物の食卓に占める割合はほんの僅かだったということです。「戦う人」として育てられてきた彼らに、狩猟による乗馬などの訓練の場を与えたのも森だったのです。他にも森は、砂糖の貴重だった時代に代用の甘味料として蜂蜜を、照明として使われる蝋燭を提供していたのです。
 
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