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チリツモ【中世ヨーロッパ情報館】

"chiritsumo” 管理人チリが、中世ヨーロッパにまつわる情報を紹介していきます。

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小説フランス革命〈2〉パリの蜂起



佐藤賢一『小説フランス革命〈2〉パリの蜂起』集英社(2011)

シリーズ第二巻は、1789年6月20日、議場を締め出された国民議会の議員たちが「憲法制定までは解散しない」ことを決議した球戯場の誓いから、同年7月12日、平民財務長官ネッケルの罷免に反発したパリの民衆が蜂起を起こすまでの、約1カ月が描かれています。バスティーユ牢獄の陥落は、この2日後のことです。

前半では議会を巡る攻防が描かれます。三部会を無視した、国民議会の独走は当初、国王によって解散を命じられるところまで至りますが、その後国王の態度は一転し、国王は特権身分への国民議会への合流を促します。かと思えば、国民議会に反発する特権身分に押されるかたちで軍隊を、議会の置かれていたヴェルサイユ、首都パリへと終結させ、武力に物を言わせた圧力を加える。

数週間のうちに起こったこれらのめまぐるしい出来事を、力を持たない議員の視点から描き出すことで、本編は国家とはすなわち暴力の独占体であることを肌で感じさせてくれます。

後半では弁護士デムーランがパリの民衆を焚きつけて蜂起に至るまでを描いています。ここでも、民衆に足りないもの、武器がいかに重要であったかがよく伝わってきます。

また、軍隊と民衆という言葉では見えてこない、両者の微妙な関係も興味深いものがあります。フランス軍の主体はほとんどが第三身分であり、かつ同じフランス人だったという当然の事実です。軍は同胞である彼らに対し、銃を向けることを嫌いました。これに対し、フランス軍の中には金で雇われた外国人兵士も多かったのですが、この状況が革命を経て「国民皆兵」というかたちに変化するというのも面白いところです。

今回も、本書では主役級ではなくとも、歴史上重要であった革命期の登場人物の肖像画を掲載します。年齢は、1789年当時。


ジャン・シルヴァン・バイイ
パリ管区選出第三身分代表議員、国民議会議長

53歳(1736年9月15日 – 1793年11月12日)


エマニュエル=ジョゼフ・シエイエス
パリ管区選出第三身分代表議員、『第三身分とは何か』の名分で知られる

41歳(1748年5月3日 - 1836年6月20日)


ラ・ファイエット侯爵マリー・ジョゼフ・ポール・イヴ・ロッシュ・ジルベール・デュ・モーティエ
リヨン管区選出第一身分代表議員、アメリカ独立戦争に参戦した自由主義貴族
32歳(1757年9月6日 - 1834年5月20日)
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