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チリツモ【中世ヨーロッパ情報館】

"chiritsumo” 管理人チリが、中世ヨーロッパにまつわる情報を紹介していきます。

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「オクシタニア」 佐藤賢一

はい、時間がとれないときはこうやってどうにか記事を増やそうとしている紗瑠々です。おすすめは基本的に小説とかになると思います。まぁ、ときには異分子も混じるかもしれませんが…





今回のおすすめは佐藤賢一さんの「オクシタニア」です。舞台は13世紀の南仏。いまだ王権の弱かった頃、ここに異端の王国があった…。というお話です。

この異端とはカタリ派(アルビジョワ派)という東欧流れの教派です。特徴としては二元論を唱えていたことがあげられます。簡単に言うと、この世界をつくったのは悪魔で、天の世界を作ったのが神であるという考えです。そして、この悪魔の物質世界から抜け出して神の国にいくために、徹底的な物質の排除、すなわち禁欲主義が求められました。これは万物を神がつくりたもうたとする正統教会に受け入れられるはずもなく、ローマ教皇は異端撲滅のためにアルビジョワ十字軍を送り込みます。その戦乱に様々な登場人物が巻き込まれていく、といった内容です。

語り手が代わっていくのが特徴で、最初は北仏の騎士シモンが、中盤~終盤はトゥールーズ市民のエドモン、トゥールーズ伯レイモン7世が主人公となります。また、もうひとつ特徴として、フランスの北の言葉(オイル語)を標準語、南の言葉(オック語)を関西弁で書いてあるのがとても面白い。登場人物にメリハリがついて、話がぐっと読みやすく魅力的になっています。

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