今回からは、中世ヨーロッパの支配形態について紹介していきます。中性ヨーロッパの支配体制といえば封建制が真っ先に浮かぶのではないでしょうか。しかし、今回は、領主と領主における関係ではなく、領主と農民における関係の、それの中世初期のものについて紹介していきます。
<古典荘園制>
中世初期、フランク王国時代に始まった、領主による農民への支配制度を古典荘園制といいます。古典荘園は、領主私有の直営地と、農民保有地で構成されていました。農民保有地は、農民一世帯の家の敷地、野菜畑、耕地などのことで、これらは世帯ごとに独立して保有・経営されていました。この制度は、メロヴィング朝期のように、王権がいまだ確立していなかった不安定な時代、中小自営農民が庇護を求めて有力者に自らの土地をいったん譲渡し、貢租の支払い義務を付加され再授与されるようになったことに端を発します。この支配制度が、カロリング朝に入ってから強化され、古典荘園制となったのです。
領主の支配下に入らず、自営農民として生活することも可能で、そうすれば貢租を納める必要はありませんでしたが、乱世の世で、一人で生きていかなければなりませんでした。領主の庇護下に入った農民は、強力な権力に守ってもらい、まさかの時の危機に備えようとしたのです。領主の支配下に入ったものは、前記のように自営農民から発したものと、元は領主個人の耕地で働いていた奴隷に、土地が付与されたものがありました。
古典荘園は、農民の生活集団を単位につくられたものではありませんでした。というより、フランク王国時代初期には、村落共同体と呼べるようなものはなかったのです。後期になってできた共同体も、いくつかの家屋が散らばって建てられているような小規模なものでした。村は農民個人の経営の集合体でしかなかったのです。領主は、こうした村の中の、一部の農民を支配下に置いただけなのでした。そのような部分的支配を複数の村で集めたものが、古典荘園の実態でした。逆に言えば、ひとつの村に何人もの領主の支配が及ぶということもあったということです。この時代の領主は、村全体に対しての支配権は、もっていなかったです。このような支配制度は、土地を基本とした「土地領主制」に対し人格的支配ということで「体僕領主制」とも呼ばれます。
領民は、領主に対して大きく分けてふたつの義務を持っていました。ひとつは貢租で、これは保有地での生産物の一部を納めることでした。もうひとつの義務は、週に2~3日間ほどの賦役労働でした。賦役労働は、領主の直営地を、農民が無償で耕作するのが主な仕事でした。まだ農業生産率も低かったため、貴重な労働力を奪われる賦役は、農民にとっては大きな負担でした。これには、生産した作物の運搬なども含まれることもありました。領主側はこれらの義務に対し、権力をもって、危機に瀕した農民を救済するというものでした。
また、全ての農民が保有地を所有できたわけではなく、保有地を持っていたのはある程度の財力を持った農民たちでした。村落の農民の半数は、小作農として、雇われ仕事を行ていました。彼らのような貧しい農民が、領主直営地の耕作の中心を担った地域もありました。
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