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チリツモ【中世ヨーロッパ情報館】

"chiritsumo” 管理人チリが、中世ヨーロッパにまつわる情報を紹介していきます。

水車 「普及」

古代はそれほど普及もしておらず、仕事の多様化もなかった水車は中世の時代に飛躍的な発達を遂げました。ヨーロッパの河川は水量が安定していて水車を使うのに適していたこと、奴隷労働が基本的に消滅しまた人口も減少して労働力不足に陥っていたことが水車の伝播に大きな役割を果たしました。

またシトー会を始めとする修道院が水車小屋を置いたことや、領主や商人などが水車利用の利益に注目したこともその水車の普及の要因となりました。そしてアルプス周辺地域や北フランスで新しい水車利用の技術(水車の縦運動化など)が生まれたことにより水車は中世の工場のようなものとなっていきました。

 

前の記事でも書きましたが、11世紀末のイングランドには5000を超える水車が存在しました。そのような総括的な資料は他の地域にはありませんが、例えばフランスのピカルディ地方では11世紀初期に40あった水車が12世紀末には245へと増加し、同じくオーブ地方では11世紀にたった14だったものが13世紀初期にはおよそ200に増加しました。

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