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チリツモ【中世ヨーロッパ情報館】

"chiritsumo” 管理人チリが、中世ヨーロッパにまつわる情報を紹介していきます。

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なぜパンなのか

私の住む日本や、東、東南アジア地域の主食は言うまでもなく米です。そして世界の穀物で米と並ぶ地位にあるのは麦で、ヨーロッパから中東、ロシアまでの広い地域で栽培されてきました。大まかに言うと、温暖湿潤な地域では稲作、寒冷乾燥の地域では麦作が適していたのでこうゆう住み分けになりました。ここでひとつ疑問があります。私たちは日常的な米食は粒のままで食べます。それと比べ、なぜ麦食は「挽いて捏ねて焼く」という面倒をしてまでパンにして食べるのかという疑問です。

理由は米と麦との構造上の違いにあります。米でも麦でも、人間が一番必要とするデンプン、タンパク質は胚乳にあります。ここに辿り付くまでの流れが米と麦では違うのです。最初の段階では両方とも一番外側には硬い殻が付いていて、これは食べられないので落とします(脱穀)。米の場合、脱穀した玄米は糠で包まれているのですが、この糠は柔らかく、かつ中の胚乳部は硬いので、玄米を突いて精米することで糠は簡単にとることができますし、柔らかい糠はそのままでも食べることができます。しかし、麦の場合、柔らかい胚乳の周りが硬くて消化の悪い「ふすま」で覆われているため、胚乳を取り出すにはどうしても挽く必要があり、その過程で胚乳は粉状になります。それをふるいにかけて、初めて胚乳部を取り出すことができるのです。

粉状のままでは食べにくいので、これを水で捏ねて、さらに焼くことで、ふっくらとした舌触りと良い香りを備えた美味パンを作ることができました。こうして、挽いて捏ねて焼いたパンが生まれたのです。
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