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チリツモ【中世ヨーロッパ情報館】

"chiritsumo” 管理人チリが、中世ヨーロッパにまつわる情報を紹介していきます。

グーテンベルクの活版印刷-何が特別なのか

火薬、羅針盤、そして活版印刷。これらがルネサンス三大発明と言われるものですが、それぞれ三大と呼ぶにふさわしい影響を世界史に及ぼしています。特に活版印刷によって、それまで一地域の人しか知りえなかった情報が大量に他の人々とも共有されるようになり、宗教改革の広がりも活版印刷の発明に大きく影響されました。

さて、活版印刷と聞いて第一に思い浮かぶのはヨハン・グーテンベルク(1399-1468)だと思います。それ以前の本の作り方は一文字一文字丁寧に書き写すというとほうもない労力と時間が必要なものでした。木版や石版に文字を刻み入れれば版画と同じ要領で写本ができそうなものですが、木版だと強度が低いため大量生産に向かず、木を削るという労力と割に合いません。石版だと今度は硬すぎて文字を刻み込むのだけで大変です。そこでグーテンベルクは、それまでにあるにはあった印刷術に改良を加えて、高水準の印刷機を発明したのです。

グーテンベルクの印刷機の特徴は
(1)活字合金の鋳造による活字の大量生産
(2)印刷用インク
(3)平圧式印刷機
にあります。

(1)の活字合金とは鉛、スズ、アンチモンの合金により作られた活字に適した合金です。また、黄銅に父型を打ち込んで母型を作り、そこに前述の合金を流し込んで活字を作る手法により、同規格でかつ大量生産可能な活字が生まれました。(2)は亜麻からとれる亜麻仁油を使って作られました。(3)は当時使われていた葡萄絞り機やオリーブ油絞り機がヒントとなりました。

グーテンベルクの印刷術は彼の弟子たちによって継承され、ヨーロッパ全土に広がって行きます。特にルネサンスの発祥地イタリアでは、この新たな手法を貪欲に取り込んで行き15世紀末には77もの印刷工場を持つに至ります。同じ時期、お家元のドイツには52、フランスには41、ヨーロッパ全土では1000軒もの印刷工場がありました。15世紀中に印刷された書物は4万点に達し、その半数は宗教関係の書物でその他には文学書や法学書、科学書などがありました。印刷された本の4分の3はラテン語でしたが、しだいに各国語の本が増えていきました。
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