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チリツモ【中世ヨーロッパ情報館】

"chiritsumo” 管理人チリが、中世ヨーロッパにまつわる情報を紹介していきます。

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交通の要-中世の街道

中世の社会を流通面で支えたのは、しばしば王や、その他の領邦君主の支配下に置かれた街道でした。いくつかの街道はローマ時代に築かれたものが再利用されました。ローマ街道は軍団居留地を真っ直ぐに繋いでいるために村や都市を経由する際に不便で、商人が顧客を得ようと思っても不利だったので、廃れていくものもありました。そうした場合に出来た道は、カーブは多く、しかし起伏は少ないように作られました。

領主たちは街道を支配することで、街道における平和維持の役目を負い、対価として利用者から関税・通行税を取り立てました。運搬手段として街道とともに使われた河川でも状況は同じです。しかしながら、君主が平和領域を簡単に確立できるのなら苦労はなく、平和領域としての街道の確保は法理念上のこと、ありていに言えば通行料目当ての建前であり、実際の街道には盗賊や野党化した傭兵隊など多くの危険が付きまといました。

これらの人的な厄難のほかにも、倒木や土砂崩れが起き、雨が降れば道はどろどろになって荷車での走行はほぼ不可能になるという状態を考えれば、中世の旅がどれほど困難だったかが想像できます。そんな街道ですが、多種多様な人々がこれを使用したというのも事実です。軍隊、商人は当然として、聖地へと向かう巡礼者、早足に過ぎ去る飛脚、都市を転々とする遍歴職人、施しを求めてさ迷い歩く乞食、そして道を住処とするジプシーなどがこの時代の街道を歩んでいたのです。

08.2.4加筆修正
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