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チリツモ【中世ヨーロッパ情報館】

"chiritsumo” 管理人チリが、中世ヨーロッパにまつわる情報を紹介していきます。

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「ドゥームズデイ・ブック」コニー・ウィリス



またかよ、言わないでください。この本はちょっと普通の歴史小説とは違います。タイムスリップものですね。ストーリーですが…今から50年後の未来から14世紀へ中世史科の女学生キヴリンがタイムスリップ、彼女をめぐる中世の物語、そして送り出したすぐ後、伝染病が突如広まって技師が倒れてしまったため、老教授が彼女を救うために奮闘します。未来と過去、舞台には700年の時の隔たりがあるのです。

で、話の流れを追うのがこの記事の目的ではないので、とりあえずよかった点などを書きます。本全体が14世紀、21世紀、キヴリンのレポートと3つに別れ、それが交互になっているので話にメリハリがついています。また、未来人の視点から中世人がどれだけ、臭く、汚く、病気に対して無知であったかというようなことが書いてあります。緊張感の途切れない作品でずいぶん早く読みきってしまいました。

ユーモアたっぷりの言い回しや魅力的な登場人物などいい点は他にもありますが、やはり一番は中世人の描写です。こんなふうに、彼らは生きていたのかなぁ、と想像できてわくわくしました。中世の人々の死亡率は現代に比べ格段に高いものでした。それでも、彼らは毎日を精一杯生きていた。そんなことが感じられる小説です。
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